5 Starsに魅せられて

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BACKBEAT

 

  ※以下、ネタバレ含みますのでご注意を。

 

 

  ものすごく端折って言いますと、、ここずっと未来やこの先に対する不安が拭えずに、結果、エンタメがなんだか虚しく感じる期を過ごしていたのですが、、久々の観劇だった先日、初っ端の “キャンバスを目の前にして” ビシッと髪型をキメる彼らの若さがあまりにも無敵*デンジャラス*1で、仲間同志ではしゃぐ彼らの溌剌さや、みんなで鳴らす音楽の拙い(という程)ながらも向こう見ずな真っ直ぐさが眩しすぎて無性に込み上げてくるものがあり、そんなシーンでもないのについつい感情が溢れ出ていました。 照明がピックガードだったりペグに反射して、彼らの動きによって無秩序に客席をキラッと照らすものだからたとえそれが偶然の産物にしても、まるで彼らのエネルギーを表しているようでこれまた眩しくて。

  

  ジョージの弟感は終始可愛らしくて微笑ましく、ポールの器用さと芯の強さが頼もしくて、ピートの着実な支えが大好きだったのに虚しくて、ジョンとスチュアートのこじれながらこその固い友情が羨ましく、、アストリッドは最高にクールでどこか普通でもあるステキな女性でした。そしてクラウス、、アンタめっちゃいいやつ...!

  最後は私としては「まったく、、男の子って(やれやれ)」といった感情に。個人的にはHappy Ending。

 

  そんな中、純粋に悲しくて嫌だったのがジョンとスチュとアストリッドの浜辺のシーン。いつの時代にもバンドには『脱退』というものが切り離せないものなんだと、、あのビートルズの下積み時代の頃からもそれはずっと変わらず繰り返されているものなんだなぁと思うと妙に生々しくて悲しくなりました。たとえそれが前向きな理由からだったとしても、そこにはどうしようもない寂しさが生まれるから、こればかりは慣れないし嫌なものですね。

 

  一方、別れと言ってもジョンがとても人間らしくいるもんだから葬儀のあのシーンは好きでした。スチュの死という事実に捻くれた態度をとるジョンもある意味ですごく素直だなぁと思えて憎めなかったし、結局堰を切ったように悲しさや悔しさをぶつけるあのジョンはただただスチュの親友であって兄弟であって、、そこまで互いを意識し合えて刺激し合える稀有な存在に出会い、貴重な関係性を築けた二人だけの絆が表れていてすごく好きなシーンでした。

 

  また、表現として興味深かったのは病に苦しむスチュのシーン。足元に敷かれた、ペイントが施された布を頭が痛む時には悶えながらくしゃくしゃにして、おさまっていく過程でまた綺麗に広げていく様子が、いい日もあれば悪い日もある、それが暴れる時もあれば静かな時もある、といった繰り返しの日々に抱えた不安を表しているように見えて印象的でした。

  

 

  そして、ここからは完璧自分の癖の話にはなりますが、、普段観劇時にオペラグラスは使わないのですが、今回ばかりは持って行かずに後悔...! だってJUONさんの足元気になった〜! いや、わかりませんよ。 素人だからなにがどうとかさーっぱり分からないけど、でも気になった見てみたかった。。

  加えて舞台上で同時進行する場面が多かったので台詞をまわしていない方たちの細かい芝居や動作、役割が気になってしっかり観ておきたかったところも多かった。(え!?今誰がここ弾いてるの?的なのも)

 

  そんなこんなもありつつ、今回は生で演者さんがバンド演奏ということで本っっっ当に楽しみにしていましたが、やっぱり左にチェンジでギターもベースもなJUONさん凄くないですか!? 辰巳くん、リードも弾いてませんでした!?え!?凄くないですか!? 個人的趣味で上口さんのドラムばっか注視してしまったのですが、はじめたばかりと聞いていましたがセリフの間のミュート具合とかリムショットとか、技術的にも凄くないですか!? 無念のドラムソロだって悔しさという言葉だけでは表せない感情がのっていて目と耳と心をぐっと掴まれました。

  そしてそして戸塚くんのスムースでナチュラルなベースが本当にカッコよかった!!うまっ...!! なんとも左手が好きすぎた〜!!! “とっつー=ギター” のイメージでしたが、今回彼がベースを弾く姿を目にして、それがあまりにもはまりすぎていて目から鱗! なんで今まで思いつかなかったんだろう!?メンバーを支える戸塚くんの強かな様ってすっごくベースっぽい(主観)!!! 本当に似合ってた〜〜〜!!!

  あとですね、、唐突な告白をすると、、実は私、昨年から(ちゃっかり)加藤さんの声のお仕事のファンでもありまして。海外ドラマの吹替とアニメ&ゲームのCVで耳にする声があまりにも私好みすぎるお声なもので、私の中で “加藤さん=声イケメン” になっていた分、やはり加藤さんが歌い始めた時の感動はかなりの鳥肌もの! 自信でしかないジョンのロックンロールな歌声は時に挑発的で、時に艶っぽく、本当に魅力的でした!!!

  そして!!歌声といえばやはりなんといっても流石の尾藤さん!!! 厚みのある圧巻の歌声、、あんなん誰も敵わないですって〜!! 最っ高にグルーヴィーで痺れましたカッコよかったー!!!

 

  そんなリアルな音楽とお芝居が生きている贅沢な芸術『BACKBEAT』、眩しくて、荒々しくもあって、ものすごく情熱的なエンターテイメントを魅せて頂きましたありがとうございます。 魅力的なキャスト陣と以前から気になっていた石丸さんの演出を楽しむことができ本当に幸せな時間でありました。あのバンドの結束感、ほんと羨ましいな〜!プレイハウスもやはり観やすくて満足度1000%でした。

 

 

 

  最後に、ただただファンの欲目でしかないかもですが、、この『BACKBEAT』のパンフレットで《当時、ライブ時の音響設備が充分でなくても、レコーディング時の録音設備がものすごく単純なものであっても、ハンブルグでの毎夜毎夜のステージで培ったグルーヴがあったから彼らビートルズはものともしなかった。機材トラブルも笑い飛ばして楽しんでいた》といった趣旨の文章を読んだ時、私は「まさにA.B.C-Zのことみたい!」と思いました。 デビュー前からずっと舞台というその日その時限りの体力、精神力勝負の場で生きてきている彼らには、生放送時の咄嗟のプランBであったり、予想外の出来事に対する最善の対処であったりを実際に見せてもらったことがあるし、そういった噂を耳にしたことが幾度となくあります。現場で培ったメンバー間のグルーヴでハプニングや困難を乗り越え、楽しむA.B.C-Zってまさに現代のThe Beatlesなのでは...! 、、ちゃっかりそんなことを思ったり。アンタらが一番頑張っているよ。

 

 

*1:「無敵」ときたらその後もどうしても言いたくなってしまって...。でもあながち間違っていない表現だと思う